歴史ボードゲームとウォーゲームの違いを考える
ここ数年の間、ボードゲームとウォーゲームの融合が進んで、ボードゲームにウォーゲームのメカニズムや歴史エッセンスが少しずつ採り入れられているように思います。Twitterを見ていても、数年前は「ウォーゲーム」と検索しても、デジモンの『ぼくらのウォーゲーム!』ネタしか出てこなかったのですが、最近はボドゲーマーの皆さんからの「私たちの」ウォーゲームネタが見つけられるようになりました。
ウォーゲーム情報探してる人が見つけやすいようにウォーゲームのつぶやきには #ウォーゲーム のハッシュタグを推奨。ウォーゲームだけだと「ぼくらのウォーゲーム」ネタの方が多いし #シミュレーションゲーム だとうまく見つけられない。#ウォーゲーム で検索すると驚くほどウォーゲームのつぶやき pic.twitter.com/GagUEuvxXH
— こかど@サンセットゲームズ (@hkokado) December 28, 2021
「#ウォーゲーム」のハッシュタグを推奨しています。
さて、歴史ボードゲームとウォーゲームの違いとは何でしょうか。この2つ、似ているようで実はまったく違うボードゲームなんです。簡単に定義してみようと思います。
◆歴史ボードゲームはその名の通り、歴史がテーマです。戦争じゃなくても歴史であれば歴史ボードゲーム。でも、『アグリコラ』みたいに中世の農民をモチーフにしたゲームは普通のボードゲームと考えましょう。例を挙げるとすれば、『トワイライト・ストラグル』を筆頭に『戦国大名』、『シドマイヤーズ・シヴィライゼーション』、『ヒストリー・オブ・ザ・ワールド』、『パックス・ブリタニカ』、『トライアンフ&トラジェディ』、『パックス・パミール』等でしょうか。
歴史ボードゲームは「歴史の背景を持ってはいるものの、史実の忠実性は問われない」ところが大きな特徴です。つまり、ゲームを遊んだ中でパラレルワールドが生まれても批判の対象にはならないのです。たとえば、『ヒストリー・オブ・ザ・ワールド』でローマ帝国がガリア地方やブリタニアに向かわず、中東に攻め進んでも誰も批判しません。歴史ボードゲームの歴史とは、あくまでもエッセンスや素材と考えれば良いかもしれません。
クラシックボードゲームの傑作『アドバンスド・シビライゼーション』。文明の発展を競います。『メガシビライゼーション』は、このゲームを発展拡大したものです。
『メガシビ』の超おもしろリプレイ見つけました。
→プレイ時間18時間!ハードすぎるボドゲ「メガシヴィライゼーション」を18人がかりで完走した話(ゆるぢえさん)
『トワイライト・ストラグル』は、かつてボードゲームギークでランキング1位をキープしていた歴史ボードゲームです。戦後から50年くらい前まであった米ソ冷戦の政治闘争をテーマにした歴史ボードゲームです。
アラフィフのゲーマーに知らない人はいないとまで言われる『戦国大名』。1980年代の第一次ウォーゲームブームで一世風靡しました。2003年にサンセットゲームズがリメイク版を発売してからずっと売れ続けている傑作歴史ボードゲームです。
こんなパラレルワールドが起こりのは、歴史ボードゲームならではです。
◆ウォーゲームは歴史ボードゲームの一種です。私が考えるところ、ゲーム盤がヘクス(六角形マス)で区切られている歴史ボードゲームはすべてウォーゲームです。ゲーム盤がエリアやマスで繋げられているポイント・トゥ・ポイント・システムでも、以下の条件に当てはまればウォーゲームです。
ウォーゲームは戦いをテーマにしています。戦争の一部を切り取った個々の作戦・戦闘(スターリングラード戦とかノルマンディー上陸作戦など)をテーマにしていることが多いですが、戦争全体(第二次世界大戦とかナポレオン戦争など)を再現しているものもたくさんあります。
ウォーゲームは歴史ボードゲームと異なり、「史実の忠実性」が大きく問われます。また、ゲームバランスが平等ではないこと、ゲーム開始時の両軍プレイヤーの戦力が非対称でアンバランス(一方が圧倒的に強いなど)なことが大きな特徴です。これはどちらも「雰囲気作り」を考えた上でゲームデザイナーが意図的に偏重させていることがほとんどです。なぜなら、ウォーゲームは勝敗よりもプレイングを通して雰囲気を味わったり、史実を学ぶことに重点が置かれているからです。実際、入門用として有名なウォーゲームである『ドイツ戦車軍団』に入っている3つのウォーゲームのうち、「エルアラメイン」と「ダンケルク」はどちらも連合軍がほぼ必勝ですが、それでも名作ウォーゲームと言われています。
ノルマンディー上陸作戦をシミュレートしたウォーゲーム『史上最大の作戦』です。故鈴木銀一郎先生の代表作です。
以上が私、古角博昭が考える歴史ボドゲとウォーゲームの違いでした。これは異なる意見を否定するものではありません。議論が深まり、歴史ボードゲームに興味を持つ人が増えることを望みます。
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