この世界の現状と進むべき道(その6)…【流通業者と小売店の存在意義】
【流通業者と小売店の存在意義】
ネット店舗による輸入直販という流通形態は低価格を簡単に実現できます(なにしろランニングコストが圧倒的に少ないのですから)。しかし、時には大きな落とし穴が待ち受けているのです。
このような販売方法は、「現在進行形のウォーゲーマー」に限っては非常に有効です。しかし、残念ながら将来のウォーゲーマーの発見・育成に大きく貢献することはできません。つまり、ネットに限定した低価格路線の輸入直販ではブームは起こせない、と言うことです。
理由はいくつかあります。ネット店舗自身の間口が狭く、露出度が低い。二次元情報の提供に限られるため、商品の実態がわかりにくい、など。
ほとんどの場合、写真に写っている商品がどういうモノか理解しているユーザーを前提に商売せざるを得ないわけで、新規開拓という点では受動的にならざるを得ません。
さらに見過ごせない側面として、同業他社の撤退を促進するというリスクを抱えています。簡単に言えば、「あそこと同じ価格でやろうと思ったら、ウチの店は赤字になるから取り扱いやめるわ」と。
通常のショップでしたら、テナントの賃料と光熱費、(本人以外の)人件費などが重くのしかかってくるわけですから、最初からネット店舗と価格競争できるわけがありません。
ということは、最悪の場合、日本国内における販売窓口がそのネット店舗1つだけになってしまうこともあり得るわけです。
この結果、競争がなくなり、国内全体から見ると、その商品の流通量が減ることになりかねません。
サンセットの商品は正直言って割高です。
しかし、サンセットの商品の価格には「問屋」と「小売店」の中間マージンが含まれています。
おかげで、サンセットの取扱商品は全国の(数は少ないですけども)店頭で買うことができます。将来は、状況が許せば、トイザ○スや東急ハ○ズ、ヨドバシカ○ラで販売することも不可能ではありません。
彼らの力を借りなければ、ウォーゲーム業界は発展しないだろう、と言うのが僕の答えです。
四半世紀j前もそうだったでしょう?
特に小売店は大量消費の窓口として、非常に重要な役割を担っているのです。
もちろんサンセット設立時には、ネット店舗のみの直販で、問屋卸はしないという選択肢も検討しました。
ただ、やはりこれでは数がハケない→普及しない。
“普及”と言う視点から見れば、僕は問屋を使った流通の方が将来的には有効だと考えているわけです。
普及すれば必然的に生産数が増え、価格も下がるのですから…。
まぁ、いろいろ書きましたが、クロノノーツゲームのオーナーの渡邉さんは、我々みたいに「再びブームを起こそう」などとは考えていないと思いますよ。
彼がこだわっているのはおそらく、現状の維持でしょう。
彼はお世辞抜きに頭が切れる人物ですし、このご時世にウォーゲームの販売という危険地帯に足を踏み入れるほどの度胸も持ちあわせています。
人格的にも子供じみた僕と違い、彼が非常に「大人」なのは皆さんの知るところです。
ただ、僕とは進んでいる道が違うということで、それは輸入業者と制作会社の違いであり、決して正否の問題ではないということです。
いいんじゃないですか、世界にわずか1000個しかないモノが割高でも。
価格を下げて普及させるのではなく、普及させて価格を下げるようにしないと、提供する側が持たないんですよ。
価格を下げて普及させるのは、昔からずっと失敗しているのですから。
※2007年3月24日の記事を再掲しました。
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