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この日プレイされたゲームは、『フォー・ザ・ピープル』、『ディシジョン・イン・フランス』でした。RPG部は『AD&D+Hack Master』の1卓でした。
各対戦の感想は、参加者からそれぞれコメントがつくと思います。
次回は1月26日(日)です。興味のある方、どしどし参加して下さい。
「元帥の日記~パウル・K・ロンメル~」901乃至920頁から抜粋
私は、オーバーザルツブルクの総統山荘に向かって、装甲指揮車を疾走させていた。 無線通信が入る。なんと総統からだ。 「余が貴官に託したわが帝国が誇る強力無比な航空艦隊は何をしているのかね?」 敵ヤーボの跳梁により交通網が寸断されているため、最優先で通行できる私の指揮車ですら、山荘への到着が30分遅れる。 そのことをOKWに伝達した直後だっただけに、私は驚嘆した。 「総統はお待ちかねだ。しかし、総統が’Luftflotte’につけておられる修飾語は全て間違っている…。」 まず、空軍の指揮権は、軍集団総司令官である私にはない。 そして、西方戦域に展開するシュペルレ元帥の第3航空艦隊は、戦爆合わせて僅か300機。 しかも、6月6日の敵侵攻以来消耗し続けており、毎日の稼動機は二桁にのるかどうかである。 もはや誇れるような戦力ではない。 対して、敵アングロサクソンが投入しているのは1万5000機。50倍の兵力である。 何故、わが航空艦隊は強力無比なのであろうか。
総統の言葉に悩みながら、ベルヒデスガーデンを一望のもとにおさめる山荘のサロンに到着した私は、最敬礼で到着を申告した。 総統は、大テーブルに向かって歩き、私に尋ねられた。 「元帥。世界最強の師団は何かね?」 「第1SS装甲師団’親衛旗アドルフ・ヒトラー’であります!」 「その師団は、誰の指揮下にあるのかね?」 「本官の指揮下であります!」 「では、この戦域で敵味方合わせて、2番目に強力な師団は何かね?」 「’ダス・ライヒ’と’ヒトラー・ユーゲント’であります。」 「それらは、誰の指揮下にあるのかね?」 「本官の指揮下であります。」 「4番目に強力な師団は何かね?」 「装甲教導師団であります。」 「誰の指揮下にあるのかね?」 「…本官の指揮下であります。」 「5番目、6番目、7番目、8番目、9番目に強力な師団は、誰の指揮下にあるのかね!」 「…。全て本官の指揮下にあります!」 「よろしい。余が貴官に与えているこれら精鋭をもってすれば、敗けるはずがない。わが装甲戦力は、かつてないほどに充実している。貴官の進むべき方角は北だ。7月中に、敵海岸堡に達せよ。」 「…。お待ちください、総統閣下、もはや…」 「パウル君。8月が終わった段階でアングロサクソンが1個連隊たりともフランスに存在したら、貴官は戦略的大敗北を喫したことになる。」 「…。」
翌日、軍集団総司令部に戻ると、トミーとアミーの大攻勢が始まっていた。 トミーは、特殊機甲師団も含め、3個機甲旅団を伴う6個師団の大軍でカーンを直撃してきたが、第654重駆逐戦車大隊と8.8センチ高射砲連隊を指揮下に編入した第12SS装甲師団’ヒトラー・ユーゲント’は、ほとんど犠牲者を出すことなく、敵の先鋒3個師団に大損害を与えた。 この戦闘は、以後の戦局に大きな影響を及ぼすこととなった。 祖国防衛の意志に燃える若き擲弾兵たちの奮戦に怖れをなしたモントゴメリーは、以後消極的な攻撃しか行わず、海岸堡にはトミーの補充兵が充満して暇つぶしに明け暮れることとなる。 一方、アミーは、半島西岸部とサン・ローに対して攻撃をかけてきたが、これも撃退した。 第2ターン、曇天の下で攻撃をしてきたのはアミーのみ。 敵攻撃は全て撃退した。 この最中、何故かドイツ語のわからない下級将校が軍集団総司令部に乱入し、暴言を吐くという珍事が発生した。 あれはおそらく敵の脱走兵が、わが軍の戦死将校の軍服をはぎ取ったのであろう。 その者は、「ゲシュタポ、ゲシュタポ!」と連呼していた。
第3ターン、晴天となると、トミー、アミーともに攻撃してきたが、トミーはヴィレル・ボカージュと112高地の間の第2装甲師団戦区を襲撃してきただけで、本格的大攻勢の気配を見せない。 アミーは、1ヘクス差し込んできたが、それだけであった。 二重人格を持つテツジンハワーは、アミーにも突撃させない。 敵最高司令官は、前進よりもわが軍の部隊を削ることに主眼を置いているようだが、敵の方が多く削れている。 第4ターンは雨天。 アミーが散発的な攻撃をしてきただけで、わが軍の整備中隊にとっては恵みの雨で、戦車数十両の修理が完了した。 すかさず、オーバーザルツブルクから電話がかかってきた。 総統である。 「パウル君。これで貴官の軍集団の状況は、劇的に改善されたな。ところで、貴官の戦線は西のほうで南に下がっているようだが。」 「…気のせいであります、総統閣下。」
しかし、第5ターンこそ曇天だったものの、第6から第8ターンまで、3ターン連続で晴天が続いた。 トミーの攻撃は、いずれも前記第2装甲師団戦区及びヴィレル・ボカージュに対する牽制攻撃のみであったが、アミーの攻撃は凄まじかった。 黒ダイスが延々と「5」ばかり出るのである。 ボカージュとはいえ、アミーは、攻撃の度に前進してくる。 対するわが第84軍団、第2降下軍団も、戦線を整えるための後退を余儀なくされる場面が多々あった。 オーバーザルツブルクから電話がかかってくる。 「元帥。貴官は方角を間違えておるのではないのかね?」 「…反撃のための準備であります、総統閣下。」
この時点で、アミーは、補充兵をフル投入しても歩兵2個師団、機甲1個師団が崩壊状態となる損害を受けていた。 わが軍は、第77及び第243歩兵師団が壊滅的打撃を受けたものの、損害は敵よりはるかに少ない。 装甲戦力はほとんど無傷である。 テツジンハワーは前進よりもわが軍への打撃を優先しているが、結果は逆で、わが軍の損害は小さいかわりに、アミーの南進速度は非常に速く、なんと半島西岸部ではボカージュ地帯が終わってしまっていた。 私は、想定外の展開に驚いていたが、テツジンハワーも逆の立場で同感だったであろう。 もっとも、部隊が、とくに精鋭装甲部隊が温存されている限り、わが軍には切り札となる。 私は、トミー前面の第5装甲軍から第102重戦車大隊と第8ネーヴェルヴェルファー旅団を抽出し、アブランシュ方面に向かわせた。 アミーと対峙するハウサーSS大将の第7軍には、もともと装甲戦力として、第2SS、第10SS装甲師団、装甲教導師団と第17SS装甲擲弾兵師団がいる。
第9ターン、調子に乗ったアミーは、曇天下でも積極的な攻撃に出た。 弱ったわが歩兵師団を、機甲師団群を先頭に敵の大軍が攻撃する。 黒ダイスはまたしても「5」、アミーは、橋梁付き小河川の戦闘後前進にも難なく成功してきた。 遂に、アミーの機甲3個師団、歩兵2個師団が、半島付け根にあるセリュヌ川を渡ってきたのである! アミーどもの前にはなだらかなフランスの平原が広がっていた。 敵兵らは、もう勝ったと思っていたであろう。 しかし、これは、奢れる敵軍を教育する時が来たことを意味するのだ。
アブランシュの東10数キロの線で、前記突破兵力の補給線を守るアミーは、機甲騎兵グループを伴う歩兵2個師団。 わが軍は、マインドル降下兵大将の第2降下軍団の指揮の下、第102SS重戦車大隊を先頭に、第2SS、第10SS装甲師団、装甲教導師団、第17SS装甲擲弾兵師団、及び第6、第15降下猟兵連隊の精鋭が一丸となってこれを粉砕、アブランシュで半島西岸に達し、敵突破兵力5個師団の補給を断つ。 「リュテッヒ作戦」である。 「パンツァー・マルシュ!」 集結地の森に戦車の履帯のきしむ音がこだました。 ティーガーを先頭にパンツァー・カイルで前進するわが戦車、その横を固める装甲擲弾兵。 軍団強襲、精鋭特典、重戦車特典がフルについて5:1。 賽の目は、白「6」と「2」、黒「4」。 …D3と前進3。決まった! 敵両歩兵師団は大損害を受けて潰走し、機甲騎兵グループは殲滅された。 わが軍はほぼ無傷で、先頭を進む第17SS装甲擲弾兵師団’ゲッツ・フォン・ベルリンヒンゲン’は、アブランシュを奪回して半島西岸に達したのである。 リュテッヒ作戦は成功した。
しかし、オーバーザルツブルクからは冷淡な電話がかかってきた。 「パウル君。何故D4でないのかね!」 「…。」 「かねがね「6」が当然の結果だと言っておるではないか!にもかかわらず「2」が混じっているとは。貴官は、アブランシュからシェルブールまで電線を敷設したいのかね?」 「嫌であります、総統閣下。」 総統の無茶ぶりは、明らかに前年よりも増している。 敵突破兵力5個師団は補給切れとなり、敵第1歩兵師団からは多数の投降兵が出た。 もっとも、敵18ステップ中、投降したのは1ステップと、敵にもまだツキはあった。 しかも、敵はなんと補給線確保のため、6000機にのぼる重爆撃機を使い、アブランシュの第17SS装甲擲弾兵師団を絨毯爆撃してきたのである! 敵は、同師団との連絡線を繋いでいる第2SS装甲師団’ダス・ライヒ’と第15降下猟兵連隊に対し、ヤーボの大群に支援された5個師団で攻撃をかけ、さしもの’ダス・ライヒ’らも平地では如何ともし難く、後退を余儀なくされた。 絨毯爆撃を食らった挙句、敵に包囲された’ゲッツ・フォン・ベルリンヒンゲン’は最後まで奮戦、Uターンして同師団に襲いかかった敵5個師団のうち、第2機甲師団と刺し違えた。 我らは、’ゲッツ’の擲弾兵たちの尊い犠牲を忘れてはならない。 (続く)
投稿: パウルK | 2014年1月19日 (日) 17時34分
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「元帥の日記~パウル・K・ロンメル~」901乃至920頁から抜粋
私は、オーバーザルツブルクの総統山荘に向かって、装甲指揮車を疾走させていた。
無線通信が入る。なんと総統からだ。
「余が貴官に託したわが帝国が誇る強力無比な航空艦隊は何をしているのかね?」
敵ヤーボの跳梁により交通網が寸断されているため、最優先で通行できる私の指揮車ですら、山荘への到着が30分遅れる。
そのことをOKWに伝達した直後だっただけに、私は驚嘆した。
「総統はお待ちかねだ。しかし、総統が’Luftflotte’につけておられる修飾語は全て間違っている…。」
まず、空軍の指揮権は、軍集団総司令官である私にはない。
そして、西方戦域に展開するシュペルレ元帥の第3航空艦隊は、戦爆合わせて僅か300機。
しかも、6月6日の敵侵攻以来消耗し続けており、毎日の稼動機は二桁にのるかどうかである。
もはや誇れるような戦力ではない。
対して、敵アングロサクソンが投入しているのは1万5000機。50倍の兵力である。
何故、わが航空艦隊は強力無比なのであろうか。
総統の言葉に悩みながら、ベルヒデスガーデンを一望のもとにおさめる山荘のサロンに到着した私は、最敬礼で到着を申告した。
総統は、大テーブルに向かって歩き、私に尋ねられた。
「元帥。世界最強の師団は何かね?」
「第1SS装甲師団’親衛旗アドルフ・ヒトラー’であります!」
「その師団は、誰の指揮下にあるのかね?」
「本官の指揮下であります!」
「では、この戦域で敵味方合わせて、2番目に強力な師団は何かね?」
「’ダス・ライヒ’と’ヒトラー・ユーゲント’であります。」
「それらは、誰の指揮下にあるのかね?」
「本官の指揮下であります。」
「4番目に強力な師団は何かね?」
「装甲教導師団であります。」
「誰の指揮下にあるのかね?」
「…本官の指揮下であります。」
「5番目、6番目、7番目、8番目、9番目に強力な師団は、誰の指揮下にあるのかね!」
「…。全て本官の指揮下にあります!」
「よろしい。余が貴官に与えているこれら精鋭をもってすれば、敗けるはずがない。わが装甲戦力は、かつてないほどに充実している。貴官の進むべき方角は北だ。7月中に、敵海岸堡に達せよ。」
「…。お待ちください、総統閣下、もはや…」
「パウル君。8月が終わった段階でアングロサクソンが1個連隊たりともフランスに存在したら、貴官は戦略的大敗北を喫したことになる。」
「…。」
翌日、軍集団総司令部に戻ると、トミーとアミーの大攻勢が始まっていた。
トミーは、特殊機甲師団も含め、3個機甲旅団を伴う6個師団の大軍でカーンを直撃してきたが、第654重駆逐戦車大隊と8.8センチ高射砲連隊を指揮下に編入した第12SS装甲師団’ヒトラー・ユーゲント’は、ほとんど犠牲者を出すことなく、敵の先鋒3個師団に大損害を与えた。
この戦闘は、以後の戦局に大きな影響を及ぼすこととなった。
祖国防衛の意志に燃える若き擲弾兵たちの奮戦に怖れをなしたモントゴメリーは、以後消極的な攻撃しか行わず、海岸堡にはトミーの補充兵が充満して暇つぶしに明け暮れることとなる。
一方、アミーは、半島西岸部とサン・ローに対して攻撃をかけてきたが、これも撃退した。
第2ターン、曇天の下で攻撃をしてきたのはアミーのみ。
敵攻撃は全て撃退した。
この最中、何故かドイツ語のわからない下級将校が軍集団総司令部に乱入し、暴言を吐くという珍事が発生した。
あれはおそらく敵の脱走兵が、わが軍の戦死将校の軍服をはぎ取ったのであろう。
その者は、「ゲシュタポ、ゲシュタポ!」と連呼していた。
第3ターン、晴天となると、トミー、アミーともに攻撃してきたが、トミーはヴィレル・ボカージュと112高地の間の第2装甲師団戦区を襲撃してきただけで、本格的大攻勢の気配を見せない。
アミーは、1ヘクス差し込んできたが、それだけであった。
二重人格を持つテツジンハワーは、アミーにも突撃させない。
敵最高司令官は、前進よりもわが軍の部隊を削ることに主眼を置いているようだが、敵の方が多く削れている。
第4ターンは雨天。
アミーが散発的な攻撃をしてきただけで、わが軍の整備中隊にとっては恵みの雨で、戦車数十両の修理が完了した。
すかさず、オーバーザルツブルクから電話がかかってきた。
総統である。
「パウル君。これで貴官の軍集団の状況は、劇的に改善されたな。ところで、貴官の戦線は西のほうで南に下がっているようだが。」
「…気のせいであります、総統閣下。」
しかし、第5ターンこそ曇天だったものの、第6から第8ターンまで、3ターン連続で晴天が続いた。
トミーの攻撃は、いずれも前記第2装甲師団戦区及びヴィレル・ボカージュに対する牽制攻撃のみであったが、アミーの攻撃は凄まじかった。
黒ダイスが延々と「5」ばかり出るのである。
ボカージュとはいえ、アミーは、攻撃の度に前進してくる。
対するわが第84軍団、第2降下軍団も、戦線を整えるための後退を余儀なくされる場面が多々あった。
オーバーザルツブルクから電話がかかってくる。
「元帥。貴官は方角を間違えておるのではないのかね?」
「…反撃のための準備であります、総統閣下。」
この時点で、アミーは、補充兵をフル投入しても歩兵2個師団、機甲1個師団が崩壊状態となる損害を受けていた。
わが軍は、第77及び第243歩兵師団が壊滅的打撃を受けたものの、損害は敵よりはるかに少ない。
装甲戦力はほとんど無傷である。
テツジンハワーは前進よりもわが軍への打撃を優先しているが、結果は逆で、わが軍の損害は小さいかわりに、アミーの南進速度は非常に速く、なんと半島西岸部ではボカージュ地帯が終わってしまっていた。
私は、想定外の展開に驚いていたが、テツジンハワーも逆の立場で同感だったであろう。
もっとも、部隊が、とくに精鋭装甲部隊が温存されている限り、わが軍には切り札となる。
私は、トミー前面の第5装甲軍から第102重戦車大隊と第8ネーヴェルヴェルファー旅団を抽出し、アブランシュ方面に向かわせた。
アミーと対峙するハウサーSS大将の第7軍には、もともと装甲戦力として、第2SS、第10SS装甲師団、装甲教導師団と第17SS装甲擲弾兵師団がいる。
第9ターン、調子に乗ったアミーは、曇天下でも積極的な攻撃に出た。
弱ったわが歩兵師団を、機甲師団群を先頭に敵の大軍が攻撃する。
黒ダイスはまたしても「5」、アミーは、橋梁付き小河川の戦闘後前進にも難なく成功してきた。
遂に、アミーの機甲3個師団、歩兵2個師団が、半島付け根にあるセリュヌ川を渡ってきたのである!
アミーどもの前にはなだらかなフランスの平原が広がっていた。
敵兵らは、もう勝ったと思っていたであろう。
しかし、これは、奢れる敵軍を教育する時が来たことを意味するのだ。
アブランシュの東10数キロの線で、前記突破兵力の補給線を守るアミーは、機甲騎兵グループを伴う歩兵2個師団。
わが軍は、マインドル降下兵大将の第2降下軍団の指揮の下、第102SS重戦車大隊を先頭に、第2SS、第10SS装甲師団、装甲教導師団、第17SS装甲擲弾兵師団、及び第6、第15降下猟兵連隊の精鋭が一丸となってこれを粉砕、アブランシュで半島西岸に達し、敵突破兵力5個師団の補給を断つ。
「リュテッヒ作戦」である。
「パンツァー・マルシュ!」
集結地の森に戦車の履帯のきしむ音がこだました。
ティーガーを先頭にパンツァー・カイルで前進するわが戦車、その横を固める装甲擲弾兵。
軍団強襲、精鋭特典、重戦車特典がフルについて5:1。
賽の目は、白「6」と「2」、黒「4」。
…D3と前進3。決まった!
敵両歩兵師団は大損害を受けて潰走し、機甲騎兵グループは殲滅された。
わが軍はほぼ無傷で、先頭を進む第17SS装甲擲弾兵師団’ゲッツ・フォン・ベルリンヒンゲン’は、アブランシュを奪回して半島西岸に達したのである。
リュテッヒ作戦は成功した。
しかし、オーバーザルツブルクからは冷淡な電話がかかってきた。
「パウル君。何故D4でないのかね!」
「…。」
「かねがね「6」が当然の結果だと言っておるではないか!にもかかわらず「2」が混じっているとは。貴官は、アブランシュからシェルブールまで電線を敷設したいのかね?」
「嫌であります、総統閣下。」
総統の無茶ぶりは、明らかに前年よりも増している。
敵突破兵力5個師団は補給切れとなり、敵第1歩兵師団からは多数の投降兵が出た。
もっとも、敵18ステップ中、投降したのは1ステップと、敵にもまだツキはあった。
しかも、敵はなんと補給線確保のため、6000機にのぼる重爆撃機を使い、アブランシュの第17SS装甲擲弾兵師団を絨毯爆撃してきたのである!
敵は、同師団との連絡線を繋いでいる第2SS装甲師団’ダス・ライヒ’と第15降下猟兵連隊に対し、ヤーボの大群に支援された5個師団で攻撃をかけ、さしもの’ダス・ライヒ’らも平地では如何ともし難く、後退を余儀なくされた。
絨毯爆撃を食らった挙句、敵に包囲された’ゲッツ・フォン・ベルリンヒンゲン’は最後まで奮戦、Uターンして同師団に襲いかかった敵5個師団のうち、第2機甲師団と刺し違えた。
我らは、’ゲッツ’の擲弾兵たちの尊い犠牲を忘れてはならない。
(続く)
投稿: パウルK | 2014年1月19日 (日) 17時34分